貴殿の近日の「日誌」も拝見しました。近年の古書価暴落は驚異的です。さきほど、先日某店で何気なく100円で買ったオスカー・ワイルドの De Profundis (日本では通常『獄中記』という書名になっている。)を読んでいましたら、その本が1905年刊のものであることに気づき、いささか驚かされました。さすがに初版ではありませんでしたが、以前(すくなくとも20年ほど前)でしたら、その書籍の価値にふさわしい値段がつけられていたことでしょう。やはりよい本が読まれなくなってきているのです。昨今、廉価の古書を見るたびに、本が安くなってうれしい反面、現代社会全般の文化と教養との低落状況をあらためて知らしめられざるを得ません。